北アルプス 山と人と街プロジェクト
特集FEATURE
水晶小屋バイオトイレ増築工事
標高2890m、北アルプス屈指の強風地帯、生活用水は100%天水利用。そんな厳しい環境の水晶小屋ですが、建築強度以上にバイオトイレとして乗り越えなければいけないハードルがいくつかありました。
- ・水洗化(処理水をリサイクルした)
- ・水を必要としないシステム
- ・標高、低温に耐えうるシステム
- ・処理水を放出しない、完結型のシステム
- ・使用電力を太陽光発電のみで賄う
今までに、以前の水晶小屋トイレ、2009年の三俣山荘トイレ、2011年には雲ノ平山荘のトイレと、独自に考案した好気性菌によるバイオトイレを進化させ一定の成果を納めてきたので、明確なビジョンを持ってはいたのですが、今回は環境の厳しさと我々もトイレ業者ではないので、物理的な試験が行えないこともあって、業者にお願いすることにしました。
調べていくうちにMファイン技術サービスという会社が我々の理想にほぼ近いシステムを作っていたので打診してみると、「環境が厳しいが挑戦してみたい」とのことでした。
私がこのシステムに感心したのは以下の理由です。
- 循環式の水洗である
- 水を必要としない
- 好気性菌の分解に加え、発酵を取り入れている
- 発酵熱による蒸発で処理水を基本的に排出しない
- トイレットペーパーを分解できる
その上で、このシステムを水晶小屋の環境に耐えうるものにすべく、我々のビジョンと経験、先方の技術をすり合わせ、システムを練り上げていきました。
2017年は2ヶ月程の試験的稼働となりましたが、まずまずの成果を上げ、今後2年ほどブラッシュアップしていけば、山岳地帯において誇るべきバイオトイレシステムになっていくことと思います。
完成した暁にはご報告したいと思います。
■施工業社の皆さま
(有) 荒川製材所:土木工事、基礎工事、木工事、板金工事
池内建築図案室:設計、管理
(有) Mファイン技術サービス:バイオトイレ浄化槽設備
若林電設:電気工事
サンリン(株) 大北支店:設備工事
(株) 有賀電機:自然エネルギーシステム一式供給
東邦航空(株):物資輸送
大変お世話になりありがとうございました。