
伊藤新道
ワイルドサイドへ踏み込む
Route Information
伊藤新道は湯俣山荘(標高1,410m)~三俣山荘(標高2,550m)を結ぶ、
全長約10㎞のバリエーションルートです。
一般的な登山道とは異なり、20回程度の渡渉が必要なルートで、
適切な装備と経験、そして慎重な判断が求められます。
ルート概要
10㎞
総距離
1140m
標高差
8~12時間
コースタイム
コースタイムについて
コースタイムはパーティごとのレベルだけでなく、
天候や水量などのルート状況によっても大きく変動します。
他の登山道よりも環境変化が激しいルートなので、
十分な余裕を持った計画を立ててください。
湯俣からは6時を目安に、三俣からは8時を目安に出発しましょう。
湯俣山荘で前泊することで、余裕を持った行動に
湯俣から入山する場合は10時間を超える行程となることもあります。
七倉からスタートすると+3時間コースタイムが増えることに。
湯俣山荘に前泊することで一日の行程を短くすることができます。
ルート図

水量の確認
湯俣川に設置されたライブカメラの画像を配信しています。
平水時や増水時等の写真と比較して湯俣川の状況を確認しましょう。
最新の状況Latest
定点カメラ画像

平水時
深いところで太もも程度の水量。川床も見やすく、渡渉点の見極めがしやすい水量です。

増水時
川床に足がつかず、流れも速くなっています。上級者でも通行不可能な水量です。

上流での噴気活動時
火山灰が混ざることで川が濁り、川床が見えなくなります。水量に関わらず難易度が上がります。
通れるか、通れないかを判断するのはあなた自身です
「今週末は伊藤新道は行けますか?」といった問い合わせを多くいただきます。けれど、その答えは個々人や同行者の体力や技量、装備などによって大きく変わります。湯俣山荘ではその判断に必要な情報の一部をお伝えしています。
渡渉について
伊藤新道では20回程度の渡渉があり、その難易度は川の状況次第で、天候や噴気活動などにより日々変化します。ひとたび増水すると川床がえぐられ渡渉点が変わることもあります。 渡渉の可否は経験やスキルによって異なりますが、川を見ただけで水量が多く危険と感じたら無理せず引き返しましょう。 無理な渡渉により流されてケガをしたり、ロープの誤った使用により危険な状況となることがあります。

水量が少なくてもこの渡渉

流れは緩くても深い

川床をよく観察して渡渉

上流で噴気時は濁流に

噴気時は濁りと増水のリスク
渡渉点の見極めがコースタイムを左右する
渡渉のポイントは、川床の地形を読み、流心の水圧が弱いところを選ぶこと。渡渉点の見極めにかける時間が多くの通行者のコースタイムを大きく左右します。想定以上のタイムロスによって途中ビバークとなる事態も毎年発生しています。行動中は計画に対して実際に掛かっている時間が遅れていないか、照らし合わせて歩きましょう。
工作物について
2021年以降に架けた3つの吊橋や桟道はすべて自然現象による損傷を受けて撤去または利用できない状態となっています。湯俣川は渡渉にて通行となります。
2025年、伊藤新道の中間地点に避難小屋「クロマメ小屋」が建設されました。
クロマメ小屋

「フィールドを愛し大切に保全するために建てられた小屋」で、伊藤新道を整備したり、周辺のフィールドの魅力を深掘りするための小さな拠点です。緊急時には避難小屋としても利用できます。
位置
三俣と湯俣を結ぶ伊藤新道の中間地点に位置し、沢パートと山パートとの区切りとなる場所です。湯俣川から約150m上がった高台に位置し、東は燕岳、南は硫黄尾根の眺望が楽しめます。湯俣山荘から4~5時間、三俣山荘から3~4時間の地点です。
利用について
フィールドを守るスタッフやボランティアが登山道整備を行ったり、フィールドの魅力を深掘りするための作業小屋として利用しています。沢の増水や体力不足、事故による怪我でビバークしないといけないなどの緊急時には避難小屋としても利用できます。
避難小屋利用について
避難小屋というとそこを宿泊地として計画する登山者も多いですが、宿泊を目的とした計画は禁止です。あくまでも緊急・非常時の利用を想定しています。緊急・非常時に利用した場合には、利用後に三俣山荘か湯俣山荘に報告し、お一人あたり5000円/泊の使用料をお支払いください。
この道のリスク
増水
増水時に流心に飲み込まれると重大な事故に直結します。川床の様子が見えないときは安易に川に入らないでください。
天候
急な天候変化により増水すると、前にも後にも動けなくなります。ビバーク装備は必須です。
噴気活動
湯俣川上流の硫黄沢ではシーズン中に何回か噴気活動が発生します。川の濁りや増水を伴います。
落石
ヘルメットを着用しましょう。また手でつかむ岩なども落とさないように。同行者を巻き込む可能性があります。
浮石
川原には不安定で割れたばかりのとがった石が多くあります。露出の多い服装は怪我のもとです。
電波
山が深く電波の入る場所が限られます。万が一の時もすぐに連絡が取れないことを覚悟しておきましょう。
増水時は状況に応じた判断を
伊藤新道は川での行動判断が安全の鍵となります。湯俣川に入る前から増水していれば引き返せばよいですが、湯俣川を歩いている最中に増水してしまった場合は、引き返すことも危険な場合があります。ビバークという選択肢も想定して行動しましょう。グループで歩く場合は最も経験の浅いメンバーのレベルに合わせた判断をしてください。渡渉で体力を消耗してしまい、その後の登りで一気にペースが落ちてしまう方がいます。
このフィールドを守る
北アルプス核心部の自然を次世代へ

手つかずの場所を歩く人ほど ありのままの自然やその雰囲気を大切にする人であってほしい