2025年伊藤新道情報について
お知らせNEWS
2025.08.07
伊藤新道推奨ルートの更新
8月中旬〜9月末頃、伊藤新道は一年のうちで最も通行に適した季節になります。 それに先立ち、伊藤新道推奨ルートを更新いたします。
主な変更:これまで、第五吊橋跡〜赤沢は、沢から離れて茶屋(現クロマメ小屋)のある山腹へ登るルートが推奨されていましたが、改め、平水時は山腹へは登らないルートを推奨いたします。
理由: 平水時においては、茶屋ルートでは時間と体力を余分に使うため ※ただし増水時は沢は通行しないでください
新推奨ルート: 湯俣山荘→三俣山荘(上り)のルートでは、湯俣川本流をそのまま赤沢出合から赤沢に入る。 三俣山荘→湯俣山荘(下り)のルートでは、赤沢からそのまま湯俣川本流へ出る。
この結果、推奨ルートでは新たに完成したクロマメ小屋前は通らないことになります。一方、クロマメ小屋は、保全作業小屋兼避難小屋の役割を持ちます。 天候の急変等により沢が増水した場合は、第五吊橋跡(湯俣山荘側)および赤沢(三俣山荘側)からクロマメ小屋のあるトラバースルートを選択し、ビバーク等で難をしのいでください。
なお、湯俣川にかかっていた吊橋や桟道は現在、大水や落石によって破損し、現在、全てが使用不可・不通、あるいは撤去済となっており、他の箇所同様渡渉が前提となっています。
公式参考ルートURL(YAMAP)もご参考ください。
上記の他、これまで伊藤新道を通行された方が実際に計画外行動となった主な原因や、注意すべき点を挙げます。 通行をご計画の方はあらためてご確認ください。
①多くの方が所要時間を短く見積もっている 渡渉箇所選びに時間がかかったり、赤沢から三俣山荘への急登・悪路で体力が残っておらず、想定より大幅に時間がかかる事例が毎年多発
②渡渉とその難易度をパーティー全体が理解していない 特にグループ山行で、一部メンバーの渡渉についての理解や経験が不足しており宿泊予定地まで到達できないケース
③ガンダム岩付近等での崩落や落石による重大事故 路線全体にわたり落石の危険、特にガンダム岩周辺では重大事故(重症・死亡)が毎年発生。経験ある者でも避けられない場合も。
④強行スケジュールによる無理な山行 荒天・増水での無理な出発、難易度を甘く見積もった計画により、山行が大きく崩れるケース
注意しなければならないのは、これらの全てが、リーダーが大丈夫だと思って計画し、決行しているという点です。
余裕を持った山行、疲労軽減、リスク回避のための情報収集などのため、特に上りルートを利用される前泊地として湯俣山荘をご利用いただくこともお勧めしています。
伊藤新道をよく知るスタッフができるアドバイスもあろうかと思います。こちらもご検討いただければと思います。
伊藤新道は、バリエーションルートならではの、野生溢れるフィールドの只中にあります。
一般登山道にはないリスクと冒険があるということを、あらためてよく知り、その魅力を感じ、楽しんで、何より無事に下山されることを祈っています。